2022年11月にSteamでも早期アクセスゲームとして配信が開始された街づくりローグライク(ローグライト)ゲーム【Against the Storm】の評価・レビュー記事です。パブリッシャーはHooded Horse。
早期アクセスでまだ正式リリースしていませんが、ローグライト×街づくりの新たな可能性を感じさせてくれる作品で、現段階でもハマるとかなりの時間が溶けていく良ゲーです。
良かった点、気になった点 簡易まとめ
Against the Stormの良かった点と気になった点を簡単にまとめておきます。
ただし、あくまで「早期アクセスゲーム」ですのでここから更にゲーム自体は改良されていく可能性が高いです。もちろん早期アクセスでもあまり大きな改善が入らずそのまま正式リリースとなる作品もありますが、このAgainst the Stormは2週間毎にアップデートが行われており、早期アクセス開始以降もどんどんと追加要素が加えられています。
良かった点:
- 街づくりゲームで一番面白い「序盤」を繰り返し遊べる
- ランダム要素があるため、毎回違った街づくりを楽しめる
- ミッションをこなしていくため、目標設定が分かりやすい
- 終盤でもそれほど操作量が多くならない
- 最難関難易度(プレステージ)は本当に難しくやりごたえあり
- 早期アクセスだが大きなバグも無く、既に完成度が高い
気になった点:
- 自分の思うままにのんびりと街を作りたい人には合わないかもしれない
- ぱっと見で見分けがつきにくい建築物がある
- 更なる高速化設定があると便利
Against the Stormのゲーム概要
永遠に降り注ぐ雨に苦しむ世界を舞台に、文明を再構築するダークファンタジー・シティビルダー。あなたはスコーチ・クイーンの命を受けた「総督」として、人間、ビーバー、リザード、ハーピーを率いて荒野を開拓する。文明最後の生き残りをかけて、未来への道を切り拓け。
Agaist the Storm Steam販売ページより
ジャンルはローグライトシティビルダー。プレイヤーは首都にいる女王から開拓の命を受けた「総督」として、超過酷な環境の荒れ地を開拓して新たな入植地(街)をつくっていきます。
街を作っていく中で「女王からの指令」と呼ばれるミッションを達成したり、開拓して得られた貴重な資源を女王の元へ送ることによって名声ポイントが得られ、これを一定数獲得するとクリアとなります。クリアすることで経験値やアップグレード資源を獲得でき、その後はまた新たな街づくりへと向かいます。
通常のシティビルダーゲームでは、一つの街を作り込んでどんどん発展させていくことが多いですがAgainst the Stormでは、
①厳しい土地で街をつくりミッションをこなしてクリアする
②クリアすることで経験値やアップグレード資源などを得る
③経験値を貯めてのレベルアップ、アップグレード資源を消費、により永続的な強化要素や新要素を獲得する
という流れとなり、その後はまた①に戻って、
①新たな土地で街づくりを行いクリアを目指す
というサイクルを回して、どんどん街を作って強化要素を獲得しまた新たな街を作っていくという点で面白さを出しています。
1つの街を作るのにかかる時間はだいたい1時間~2時間程度。一般的なシティビルダー系ゲームと比較するとお手軽にプレイすることができ、だからこそ何度も街づくりを繰り返すことができるようになっています。
「厳しい土地ので街づくり要素」と「街づくりを何度も行うことで永続強化を獲得していくローグライト要素」を掛け合わせた、シティビルダーローグライトという意欲作ですね。
Against the Stormの良かった点
街づくりゲームで一番面白い「序盤」を繰り返し遊べる
あくまで個人的な見解ですが、街づくりゲームで一番面白いのは、四苦八苦しながらも街の基盤を整えなんとか軌道に乗せるまでの「序盤」であると思っています。軌道に乗って順調に物事が進み始めると一気に難易度が下がったり飽きが来たりするゲームも多く、「街づくりの序盤」を繰り返し遊ぶゲームがあればなあと思っていたくらいです。
そんな時に現れたのがこのゲーム
ワンプレイ2時間前後で、厳しい土地に入植して基盤を整え、収穫から生産や交易までスムーズに行えるように整備し、時に訪れるバッドイベントを乗り越え、なんとか入植地の運営を軌道に乗せることが出来たかな、というタイミングでクリアとなるまさに私にうってつけのゲームでした。
「この街の運営もう飽きてきたな…」というようなことも無く、次から次へと入植地を開拓していけるため、繰り返し遊び少しずつ強化を行っていくローグライト要素との兼ね合わせも抜群。
私にとっては最高のゲーム性で、同じように街づくりゲーは序盤が楽しいと思っている人には本当におすすめです。
ランダム要素があるため、毎回違った街づくりを楽しめる
同じ条件で街づくりしつづけても飽きるだけですが、本作では土地毎に発生するバッドイベントが異なっており、どういう効果のある土地を開拓するかも重要です。
また、ミッションである「女王からの指令」、定期的に獲得できる女王からの手助けである「要石」、ミッション等を達成していくことで得られる「名声ボーナス」、これらの内容はランダムで提示される数個の選択肢の中から1つだけ選ぶ形になっています。
ランダム要素を上手く駆使しながら名声を獲得しクリアを目指すのですが、発展が遅いとどんどん「女王の怒り」が溜まっていき、一定値まで貯まるとその街の開拓は失敗となります。
提示されるランダムな選択の中から、上手く組み合わせて如何に早く効率的にクリアを目指せるか、ということを考えながらプレイすることができるので、毎回異なったプレイスタイルで遊ぶことが出来ます。
高難易度になるほど、このランダム要素を上手く利用していかないとクリアできなくなってきますが、稀に「あっ、この組み合わせだとすごいシナジーが得られるのでは!?」という気づきがあったりして、そういった所がAgainst the Stormの楽しい部分であり、どんどんと深みにハマってしまう部分でもあります。
ミッションをこなしていくため、目標設定が分かりやすい
入植して開拓を初めると「女王からの指令」というミッションを受注することになり、指令をこなすことで名声を獲得しクリアに近づいていきます。
特に初心者の頃は何から手を付けてよいのか分からなかったりしますが、この女王の指令があるおかげで目標を見失うこと無くプレイできます。
指令を達成することで名声と物資やボーナスが得られるため、まずはこの指令を達成することを主眼に置きましょう。
そのうち自然と、「この指令を達成するためには何の建造物が必要で、どういう原料を集めればよいのか?」ということを考え行動ができるようになっていきます。
終盤でもそれほど操作量が多くならない
街づくり系や戦略ストラテジー系ゲームに多かったりするのですが、終盤になるにつれ指示できる対象が増え建造物も増加するため、非常に多くの操作(指示)が必要となり、
「操作量が多くなって面倒くさい!!!」
となってしまうことがあります。操作自体が面白ければ良いのですがそうではない場合が多く、ただただ操作量が増加し煩わしくなってしまいます。
ですがAgainst the Stormではゲーム終盤でも操作量はあまり多くならず、煩わしさを感じることは少なかったです。そのため繰り返しプレイにおいても操作が面倒だと思うことが少なく、非常に良い点だと思っています。
最難関難易度(プレステージ)は本当に難しくやりごたえあり
現在難易度は、入植者、開拓者、熟練者、総督、プレステージの5種類用意されており、プレイヤーは強化要素を獲得しながら少しずつ難易度を上げていく形となっています。
私は正式に完成したら更にやりこみたいと思っているためプレステージ全クリアまで至っていませんが、やった範囲では最高難易度でのプレイは非常に難しくなり、プレイヤーを本気で殺しにかかってきます。
そのため現段階でも高難易度へのやりこみ要素はある程度確保されており、女王の怒りや森の嵐に震えながら挑戦することが可能です。
正式リリース時に更なるやり込み要素や歯応えのある難易度が追加されるのかは分かりませんが、現時点でもかなりの難易度を誇っています。
早期アクセスだが大きなバグも無く、既に完成度が高い
早期アクセスにつきものの大きなバグなどに出会うこともなく、今でもある程度の完成度を保っています。
もちろんUIでもう少し良くなれば良いなあという点であったり、もうちょっとバランス良くならないかなという点はありますが、そういう部分のフィードバックを受けて直していくための早期アクセスであるため、要望を伝えていけるのも強みです。
このゲームは2週間に1度のアップデートが入りますし、たまに「どういう要素を追加するのが良いか?」などとゲーム内アンケートを取ったりしているので非常に健全な開発チームじゃないかと思います。
Against the Stormの気になった点
自分の思うままにのんびりと街を作りたい人には合わないかもしれない
良かった点として、「街づくりゲームの序盤を繰り返しプレイできる」を挙げましたが、これは裏を返せば「一つの街を長い時間かけて作り上げていく」ことが大好きな人にとっては長所にならない場合があるということです。
もちろんそういうプレイヤーでも本作を存分に楽しめる可能性は全然あると思いますが、ゆっくりと自分のペースで街を完成させていくことが好きだったり、ローグライト要素に魅力を感じない人にとっては合わない可能性もあるため注意です。
特に本作では次々と街をつくっていきますが、一定周期で大厄災が発生するため、作った街が全て崩壊させられてしまいます。
面白そうではあるけど私に合うかな?という人は、1度プレイ動画をちらっと見てみるのが良いと思います。youtubeやニコニコ動画などで日本語のプレイ動画が多数上がっています。
ぱっと見で見分けがつきにくい建築物がある
建物の外観はファンタジー色もあり非常に好みなのですが、ちょっと似たような建物もありぱっと見では見分けがつきにくいなと感じました。
もちろんカーソルを合わせれば何の建物かすぐに確認できますし、建築数も確認できるため不便とまではいかないのですが、もう少し見た目が分かりやすくなればなあという思いもあります。
ただ建築物の種類自体も非常に豊富なため、全て見分けがつくようにするのは困難であるとも思うので、少し気になったなと言う程度の私の感想です。
更なる高速化設定があると便利
現在のゲーム内速度は、通常時の3倍まで高速化可能となっています。ある程度操作が必要な場合は3倍速で十分なのですが、「少しの間は様子を見つつあまり操作はないかな」というような場面もあり、そういう時にもっと高速化できる設定があると非常に嬉しいなと思いました。
今後のアップデートでどうなっていくか期待しておきます。
Against the Stormの評価・レビューまとめ
以上、Against the Storm早期アクセスの私の評価をまとめると、
- 街づくりゲームで一番楽しい「序盤」を何度もプレイできる
- ローグライト的なランダム要素が上手く機能しており、繰り返しプレイが楽しい。終盤の操作量も多くないため面倒くささも無い
- もうすこし改善して欲しい点もあるが、早期アクセス作品であり頻繁にアップデートもあるため今後にも期待できる
- ゆっくり自分のペースで一つの街を作り上げたい人には向かない可能性もある
となります。
街づくりの序盤という最高に楽しい部分と、ローグライト要素を上手くかけ合わせて融合させた良作でした。
街の外観とかよりも、どう効率良く運営を軌道に乗せるか、どうやったらもっと上手くミッション達成していけるかを考えるのが好きな人や、街づくりゲームの序盤が好きな人には非常に合うのではないかと思います。
気になった方は是非遊んでみて下さい!
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