【メグとばけもの】レビュー・評価 少女と魔物と音楽によって紡がれる感動の物語

ゲームレビュー

2023年3月に発売されたアドベンチャーRPGである【メグとばけもの】のレビュー・評価記事です。対応プラットフォームは、SteamニンテンドーSwitchXBox One/Series。開発元はOdencat株式会社という日本のインディーゲーム開発会社です。

感動のストーリーとゲーム内の音楽が非常に良く、「やって良かったなあ」としみじみ思わせてくれる心暖まるインディーゲームでした。

物語主体の作品ですので、本レビューではできる限りネタバレをしないように記事を書いております

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良かった点、気になった点 簡易まとめ

はじめに【メグとばけもの】の良かった点と気になった点を簡単にまとめておきます。

良かった点

  • ストーリーが良く、感動できた
  • 憎めないキャラクター達
  • メグを泣かさないように戦う斬新な戦闘システム
  • 昔ながらのドット絵と雰囲気の良さ
  • 物語を引き立たせる非常に良質な音楽

気になった点

  • サブクエストの位置づけと量

【メグとばけもの】のゲーム概要

魔界に住む魔物のロイとゴランは、魔界に迷い込んだ人間の少女メグを見つけます。
らんぼうもののロイですが、迷子になったメグを探したり、一緒に星空を見上げたりするうち、次第にメグと心を通わせていきます。
そして、メグを母親のもとに送り届けるため、人間の世界へと向かうことになります。

ロイはとても強く、ほぼ無敵の魔物。しかし、彼はメグをかばいながら戦う必要があります。
メグが泣かないように時にはおもちゃを使いながら、ひとクセもふたクセもあるモンスター達と戦い抜きましょう。
※メグが泣くと世界が滅びます(ゲームオーバー)のでご注意ください。

メグとばけもの Steam販売ページより

アドベンチャー要素の濃いインディーRPGゲーム。戦闘システムは、ばけものである「ロイ」が魔界に迷い込んだ「メグ」を守りながら戦うという一風変わったシステムとなっています。

メグが泣くと世界が滅びるため、渋々メグを泣かせないようにお世話をしたり戦闘で守ったりしていたロイですが、徐々にメグと心を通わせて色々な感情を手に入れていく模様も描かれており、良質な物語となっています。

メグとボール遊びをするロイ

【メグとばけもの】の良かった点

ストーリーが良く、感動できた

メインストーリーがあり基本的には1本道のゲームとなっているため、物語を読み進める形でゲームは進んでいきます。

となると、そのメインストーリーが面白いかどうかが重要となってくるのですが、人間の少女である「メグ」と、魔物である「ロイ」が少しずつ心を通わせて成長していく様子を見ることができる心が暖かくなるストーリーとなっていました。特にメグとロイとで違う形の成長が見られて非常に良かったです。

そして物語の見せ方が上手いのも本作の優れた点だと思います。最弱の「人間の少女」と最強の「ばけもの」という対比構造を用いつつ、普通では相容れない両者の視点を上手く描くことで、より深みを生み出しているなという印象を持ちました。

感動系のアドベンチャーゲームや物語が好きな人であればきっと満足するストーリーだと思います。私もウルッと来た場面が2度ほどありました。涙腺が弱い人だと涙することもあるでしょう。

憎めない登場キャラクター達

メグやロイは勿論のこと、ロイの相棒であるゴランや、魔界を統括する評議会の4人を始めとするキャラクター達もきちんとキャラが立っているのが非常に良かったです。

メインの2人以外も人物の背景などが描かれていたため、好きになれるキャラクターが多かったです。

メグとロイ以外での私のお気に入りキャラクターは、ゴランと評議会のおじいさん。いいキャラしてますね。

メグを泣かさないように戦う斬新な戦闘システム

本作の戦闘システムは、魔物の中でも最強クラスに強いロイが「メグを守りながら戦う」というシステムを採用しており、これによって

  • 最弱のメグと最強のロイという物語上の対比を強調する
  • アドベンチャーメインのゲームにおいて単調になりがちな戦闘部分を面白くする

という試みがなされているのかなと制作陣の挑戦を感じた部分でした。

最弱のメグと最強のロイという物語上の対比の強調
ロイは初めからHPが99999もあり、生半可な攻撃ではビクトもしません。

「え、じゃあバトルでやられることなんて無いのでは?」と思うところですが、メグが泣く(メグのメンタルヘルスが0になる)と世界が滅びるためロイはメグを庇いつつ、時には「おもちゃ」であやしてメンタルを回復させつつ戦わなければなりません。

最強のばけものが最弱の少女を守るという構図を、物語だけでなくバトルでも上手く表しており、本作の面白さを1段上げてくれた要素となっていました。

アドベンチャーメインのゲームにおいて単調になりがちな戦闘部分を飽きさせない
この戦闘システムにより、物語上の要素を戦闘に落とし込む面白さだけでなく、戦闘部分への飽きをできる限り減らそうという工夫が見られたのも良かったです。

アドベンチャー+RPGのようなゲームでアドベンチャーに重点を置いている作品ですと、RPGの戦闘部分が非常に単純なものになることがあり、終盤に向かうにつれ戦闘に飽きが生じてしまう作品がよく見られます。

ですが本作ではメグを守りながら戦うというシステム等のおかげで、戦闘自体に複雑性があるわけではないにも関わらず、わりと最後まで楽しめたかなと思います。これはアイデアの勝利ですね。

昔ながらのドット絵と雰囲気の良さ

ドット絵で描かれたメグや魔物達がとても可愛いです(勿論あまり可愛くない魔物も登場します)。

戦闘やイベントでのドット絵アニメーションによる細やかな演出が細部にまで行き届いており非常に好印象だったのに加え、ゲーム全体の雰囲気とも合致した描画となっており、没入感を上げる要素の一つとなっていました。

また、メグたちが持つ優しげな雰囲気と魔界のちょっとしたカオス感も上手に描かれており、雰囲気ゲーとしても良好な仕上がりとなっています。

物語を引き立たせる非常に良質な音楽

このゲーム、音楽がとても良いです!!私個人としては物語と音楽がこの作品の2大良かったポイントだと思っています。

感情をゆさぶられるようなエモい音楽から、魔界を表現する少し緊張感のある音楽、そして戦闘を際立たせる臨場感のあるものまで揃っており、個人的なお気に入りとなるものが多かったです。

私は、ストーリーを重要視しているゲームには音楽的な良さが必要不可欠だと思っている人間なので、そういった意味でもメグとばけものでは心に残るBGMが多く非常に好印象でした。

また、「がらくたが多い魔界」を表現するためか実際の音楽中に石や金属の棒などといった「がらくた」を利用した音を入れ込んでいるのも面白い点だと思いました。こういった部分からも製作陣の非常に強いこだわりが垣間見えて面白かったです。

そのこだわりを表すかのように、本作はゲーム自体はダウンロード版のみの販売にも関わらずオリジナルサウンドトラックがCDとして販売されており、本当に力の入れようが凄いです。(もちろんデジタルデータでの販売もあります!)

作曲を担当した裏谷玲央氏が、YouTube上で「メグとばけもの オリジナル・サウンドトラック 遊べるサントラ紹介動画」と題してプレイ前でも楽しめる動画を公開しているので気になる方は是非視聴してください。

また、以下のサイトからゲーム中の音楽の一部を聞けたりCDを買えたり、裏谷玲央氏のこの作品に対するメッセージなども読めたりするので、ゲームをクリアした人は是非覗いてみてください(ゲーム内から飛べるサイトと同じ)。ネタバレ的な観点から、見るのは出来ればゲームクリア後の方が良いと思います。

そしてゲームをクリアして「音楽が良かったな」と思った人は、サントラに入っている楽曲を見てみましょう。もしかしたら気づくことがあるかもしれません。ちなみに私は裏谷玲央氏のファンになってしまいました。

【メグとばけもの】の気になった点

サブクエストの位置づけと量

気になる点はそれほど多くは無いゲームだったのですが、少し気になったのはサブクエストの位置づけとサブクエストの量となります。

サブクエストの位置づけ
本ゲームは基本的にメインクストーリーを追っていく形で物語が進んでいくのですが、偶にサブクエストが出現します。サブクエストの数自体は多いわけでも無く、プレイヤーを飽きさせないためにあるのかなと思っています。が、このサブクエスト、「絶対に見たほうが良い」という内容のものと「まあこれはサブクエストだよね」という内容のものが両方存在しております。

これからプレイする予定の人は、メインストーリーに絡むサブクエストがあるので絶対に飛ばさず見ましょう。私から言えることはそれだけです。

サブクエストの量
一部深掘りが足りないと感じるキャラや設定があり、せっかくサブクエストシステムを採用したのであれば、設定やキャラの背景をもう少し描けていたらキャラの行動の裏付けも更に強化されて感情移入が深まったかもなあ、という印象を受けました。

メインストーリー自体は面白いものとなっているため、このサブクエストの部分がもう少し強化されていれば個人的評価として名作になっていたかもなあと思っています。

【メグとばけもの】のレビュー・評価まとめ

以上まとめると、

  • 物語に感動したし、作品の雰囲気もよくドット絵との相性も最高だった
  • ゲーム内BGMも非常に良く、ゲーム音楽へのこだわりが垣間見れた
  • メグを守りながら戦うバトルシステムによって描かれる最弱と最強の対比構図
  • サブクエストなりメインストーリーの補強なりでもう少し深掘りが欲しかった

となります。

個人的な評価としては、良作と名作の間を揺れ動いている作品という感じです。

もう少しボリュームや深掘りがあればなあという気持ちはあるものの、ゲーム自体は面白く音楽も良かった!というのが素直な感想ですね。

感動モノのゲームが好きな人には勿論オススメですし、「少女とばけもの」という普通では相容れない組み合わせに琴線が触れるような人も是非プレイしてみてください!SteamNintendo SwitchXBox One/Seriesの各プラットフォームでプレイできます(ダウンロード版のみ)。

1人でも多くの人が実際にプレイしてくれると嬉しいです!

なお、インディー且つストーリーメインの作品なため、おおよそのプレイ時間が分かってしまうと「まだまだ終わらないな」、「そろそろエンディングか」といった余計な情報が入り込んでしまうため、クリアまでのプレイ時間はあえて書いておりません。どうしてもプレイ時間の目安が知りたい方はSteamのレビューでプレイ時間だけをざっと見たら良いと思います。だいたいそれくらいです。

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