2023年3月にスクエア・エニックス(開発元:ジーン)から発売された【パラノマサイト FILE23 本所七不思議】のレビュー・評価記事となります。対応デバイスは、Steam(PC)、Nintendo Switch、iOS、Android。
本作はホラー要素もある「七不思議」を題材としたミステリーADVゲームです。
先に書いてしまいますが、ホラー要素自体は「驚く場面は何箇所かあるが、苦手な人でも楽しめるレベルの怖さ」であると思います。あくまでメインはミステリーでした。
できる限りネタバレしないようにレビュー記事を執筆していますが、何も情報を入れずにプレイするのが良いと思うので、ホラー要素のあるミステリーADVゲームが好き、「呪い・オカルト・推理モノ」が好きという方はコレ以降読み進めずに買ってプレイするのが一番楽しめると思います。
パラノマサイトの良かった点、気になった点 簡易まとめ
はじめにパラノマサイトの良かった点・気になった点を簡単にまとめておきます。
良かった点:
- 終始不気味さを醸し出すミステリーADVとしての雰囲気の良さ
- ミスしてもやり直しが効くシステム
- 充実した作中データベース
- 比較的分かりやすいミステリー要素
- ホラー要素はあるが、ホラーゲーム苦手でもプレイできるレベルの怖さ
気になった点:
- 既読スキップ未実装
- チュートリアル部分(最序盤)とそれ以降で異なるプレイ感
パラノマサイトのゲーム概要
実在する怪談「本所七不思議」の伝説――
《蘇りの秘術》をめぐって”呪い合い”が始まる。昭和後期の日本、墨田区を舞台にしたホラー・ミステリーアドベンチャーゲーム。呪いによって翻弄される個性的なキャラクター達、
それぞれの思惑が絡み合い展開する物語は、あなた自身の手で結末へと導かれる。ごく普通の会社員・興家彰吾は、友人の福永葉子とともに、深夜の錦糸堀公園で、地元では有名な怪談、《本所七不思議》について調べていた。
パラノマサイト Steam販売ページより
《蘇りの秘術》と関係するという葉子の話を半信半疑で聞き流していた興家だったが、
目の前で次々と奇妙なことが起こり始める‥‥。
時を同じくして、《本所七不思議》を追う人々がいた。
連続変死事件を追う刑事、クラスメイトの自殺事件の真相を求める女子高生、そして失った息子の復讐を誓う母親。
本所七不思議を中心にそれぞれの思惑が絡みあい、物語は凄惨な呪い合いへと発展していく。
昭和後期の墨田区を舞台としたホラー要素のあるミステリーADVゲームで、ホラーよりもミステリーに重きを置いた作品となっています。
現実の日本を舞台にしつつ、「七不思議」「呪い」「蘇りの秘術」といったオカルト要素もふんだんに取り込んでいるのも特徴。
プレイヤーは会話中の選択肢だけでなく様々な仕組みでゲームに関与できたりするので、通常のADVとは少し違った楽しみも味わえるようになっています。
パラノマサイトの良かった点
終始不気味さを醸し出すミステリーADVとしての雰囲気の良さ
呪いや七不思議を扱っているためストーリーは勿論不気味であり、それに加えて絵柄も可愛さがありながらもやや陰りのあるタッチで描かれているので世界観を壊しません。この終始不気味な雰囲気を保てているのが本作の最大の魅力であり、物語に没頭させてくれる良いポイントとなっています。
昭和後期の墨田区を舞台とすることでオカルトを扱いながらも現実っぽさも混在しており、不気味さを更に醸し出しているなと思いました。墨田区に関しては地名くらいしか知らないですが、よく知っている人が受ける印象はまた違うのかなと少し気になります。
また、題材となっている「本所七不思議」自体は江戸時代から伝聞されてきている怪談(都市伝説)として実際に存在しています。こういう現実とフィクションとの狭間を攻めることで不気味さを高めて臨場感を出しているのが面白かったです。
ミスしてもやり直しが効くシステム
細切れのチャプター毎にプレイしていくスタイルなので、何かミスして望まない結果となってしまっても再度チャプターを選択してプレイ開始できるので、ミスを気にせず遊べるのが良かったです。
チャプターの「初めから」もしくは「途中から」を選べるため、やり直したい箇所に近い所から再開することが出来てとても便利でした。
気になった会話文を再度見返したいときにも割りと簡単に振り返ることができたりするのでその点もやりやすいシステムとなっていました。
充実した作中データベース
推理モノでは情報が多くなりがちでプレイ中にその情報を確認したくなるものですが、本作では作中の情報データベースが「資料」としてまとまり充実していて使い勝手が良く、非常に便利でした。
データベースは基本的にいつでも参照できるため選択肢などで困った時に見れますし、改めて推理したい時に「あれってどうなってたかな?」という疑問もすぐに解消できたのでとても役立ちました。
設定がきちんと作り込まれていて且つ作中のデータベースが充実しているゲームは本当に好印象です。
比較的分かりやすいミステリー要素
個人的な所感としては、本作の推理要素は比較的分かりやすくなっていると思います。出てくる情報をきちんと追っていけば真相にたどり着けるようになっていて、多くの人が「なるほど、そういうことだったのか?!!」という推理ができるように作られていると感じました。
複雑にしすぎず皆に推理モノの楽しみを味合わせることができているのは非常に良い点だと思います。
一方で、普段から推理小説などを読み漁っているような人には少し簡単な部分もあるかなという感想を抱きました。超本格的なミステリーを期待する人には合わない可能性があるので、そこは注意してください。
ホラー要素はあるが、ホラーゲーム苦手でもプレイできるレベルの怖さ
ミステリーADVが好きだけどホラーは苦手な人にとって気になるのは、ホラー要素がどれほどのモノかという点です。
私自身ホラーゲームは非常に苦手で、ホラーがメインとなるゲームは絶対にプレイしないですし、ホラー映画も見ないくらいには嫌いです。そんな筆者でも普通にプレイできる程度のレベルの怖さでした。正直数回は驚かされてビクッとなる場面がありましたし、「えっ、これずっと怖いのかな…」と心配したりもしましたが、問題なくクリアできました。
本作はホラーゲームでは無く、あくまでホラー要素のあるミステリーADVゲームの枠内に収まっているので、ホラー少し苦手だなという程度なら大丈夫だと思います。
ですが、
- 驚かされる演出が本当に無理
- 真っ暗な場面になるだけで厳しい
- 出血などは見たくない
というような人にとっては厳しいと思いますので、他ゲームを検討した方が良いと思います。ちゃんとCERO:Dのゲームにはなっていました。
パラノマサイトの気になった点
既読スキップ未実装
アドベンチャーゲームではありますが、既読スキップ機能がありません。
細かくチャプター毎にシナリオが分かれているため、超絶に不便かと言われるとそうではないのですが、やはりあった方が便利だったなあという感想を抱きました。なぜ実装されていないのかと思わずにはいられません。
一応公式Twitterにて、倍速オートモードとキャンセルボタン連打を用いたメッセージ早送りの仕方を紹介してはいます。クリアしてから知ったので役立てませんでしたが、今からプレイする人は活用してみてください。
チュートリアル部分(最序盤)とそれ以降で異なるプレイ感
最序盤はチュートリアルのような感じで進んでいきますが、最序盤とそれ以降とでは若干プレイ感やゲームの雰囲気が異なります。掴みとしては良いのかなとも思いますが、推理ADVを期待しているプレイヤーに対して最序盤は少し訴求力が弱い気がしています。
もし最序盤をプレイして「何か想像していたのと違ったなあ」という感想を抱いても、そこで止めずにもう少しプレイしてみてほしいです。きっと面白くなると思います。
レビュー・評価まとめ
以上、パラノマサイトのレビューをまとめると、
- 不気味さを醸し出すミステリーADVとして雰囲気が良い
- 分かりやすく推理が楽しめる。作中データベースも充実してるので困った時も安心
- ホラーが苦手でも問題なくクリアできる
- 既読スキップが何故無いのか
となります。
七不思議や蘇りの秘術といったオカルトを題材にしつつ、しっかりと推理モノとしてまとめている良い作品でした。個人的評価としては良作です。
ネタバレをしたくないので詳細は触れませんが、登場するキャラクター達も個性豊かで非常に良いキャラが多かったです。アドベンチャーには物語と登場人物の面白さが必須だと思いますが、本作は両方満たしていたので良かったですね。
オカルト要素好き、ミステリーADV好きには刺さる作品だと思います。気になった方は是非プレイしてみて下さい!
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