【シロナガス島への帰還】レビュー・評価 物語もコスパも最高なミステリーADVゲーム

ゲームレビュー

PC(Steam等)、及びNintendo Switchにて発売されている【シロナガス島への帰還 -Return to Shironagasu Island-】のレビュー・評価記事です。このゲームの製作者は鬼虫兵庫氏。本記事は物語のネタバレが極力ないように執筆しています。

クセのあるグラフィックながら、高品質のシナリオで最高に楽しめたミステリーADVゲームでした。個人インディーゲームながらクラウドファンディングの力も借りてフルボイス化しているのも素晴らしいポイント。

ホラー要素や若干のグロ要素が含まれているため少し人を選ぶ部分はありますが、

  • ある程度のホラーやグロは問題ない
  • グラフィックも気にしない
  • ミステリーADVが好き

な人は事前情報を入れないためにも、コレ以降読み進めずに購入してプレイするのがおすすめです。

ミステリーとか好きだけどホラーが苦手で「ホラー要素ってどれほどのもの?」と気になる人は該当箇所のみ読んでいただくのも良いかもしれません。記事を読んでみて気になった人は是非プレイして楽しんでいただけたらと思います。

(本記事はSteam版プレイでのレビューとなります)

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良かった点、気になった点 簡易まとめ

まずは【シロナガス島への帰還】の良かった点と気になった点を簡単にまとめておきます。

  • ミステリーADVとしての推理部分の優秀さ
  • ADV作品としてのシナリオの面白さ
  • 怖さを醸し出す雰囲気づくり
  • 印象に残る個性的なキャラクター達
  • 良質な音楽
  • 圧倒的コスパの良さ
  • 一部イマイチなUI

シロナガス島への帰還のゲーム概要

―私は帰還する あの忌まわしきシロナガス島へ―

絶海の孤島『シロナガス島』を舞台としたミステリーアドベンチャーゲーム。
あなたは探偵『池田戦』となり、助手の『出雲崎ねね子』と共に『シロナガス島』の秘密を探ることになります。

シロナガス島への帰還 Steam販売ページより

絶海の孤島を舞台としたミステリーADV。探偵である主人公がシロナガス島に隠された秘密を暴いていくという割と王道寄りのミステリーとなっています。

基本はテキストを読み進める形となりますが、探索・推理パートでは画面内のオブジェクトをクリックすることで隠されたヒントを見つけ出すといったシステムも取り入れられています。

また、元々はPC版のみの販売でボイス無しでしたが、クラウドファンディングの結果「Nintendo Switch版販売決定」&「フルボイス化」となり、既存のPC版でも無料アップデートによりフルボイスで楽しめるようになっております。

現時点での対応ハードは、PC(Steam等)、Nintendo Switch。

ホラーやグロ要素が少しあるためCERO:Dとなっているのは注意すべきポイントですね。

シロナガス島への帰還の良かった点

ミステリーADVとしての推理部分の優秀さ

プレイしてまず私が感じたのは、推理アドベンチャーゲームとして良く作られており、難しすぎず、簡単過ぎず、非常に良いバランスだなということでした。ゲーム中で出てきた情報を整理し、一つずつ考えていけば真相にたどり着くことができるようになっています。そのため、事件の真相が分かった時には「なるほどそういうことか!!」とスッキリと気持ちよくなりました。

超本格!というほどではないですが推理モノが好きな方ならきっと満足できる出来だと思います。

また、ゲーム内では主人公達が重要な情報をあらためて整理してくれる場面もあるため、ミステリーADVにそれほど慣れていない人でも、助けを借りながら真相を解き明かして推理モノを楽しめるようになっていると思います。

ADV作品としてのシナリオの面白さ

ミステリーとしての面白さだけでなく、アドベンチャーゲームとしてシナリオも非常に良かったのが高評価ポイントでした。

  • 散りばめられた伏線と回収
  • 物語としての面白さ
  • 少しずつ解き明かされる全貌
  • 隠された秘密と島からの脱出

純粋に読み物としても面白く、非常に満足度が高かったです。ミステリー&サスペンスにホラーなどなど様々な要素が絡まる物語を楽しく読ませてもらいました。

そしてクリア後に余韻に浸りながら色々と考察をしつつ2周目を読み進めていくと、1周目では気づききれなかった箇所を発見することが出来たりして面白かったですね。良く出来てるなあと感心しました。

昔ながらの古典的ADVゲームが好きな人には、より刺さるゲームではないかと思います。

怖さを醸し出す雰囲気づくり

孤島という閉鎖空間の中で謎を解き明かしていくわけですが、その雰囲気づくりが非常に良く終始不気味な怖さを表現できていたと思います。

所々に散りばめられている不気味な装飾品や小物や背景。次に何が起こるか分からない張り詰めた緊張感。孤島というロケーション。怖いけれども解き明かしたい事件の真相。

特にゲーム中盤あたりの緊張感はなかなか凄かったです。思わずのめり込んで一気に物語を読み進めてしまいました。

今回は単なるミステリーだけでなくホラー要素も掛け合わさっていたため更に不気味な雰囲気となっていましたが、こういう雰囲気づくりにおいて多少ホラー要素があるのは良いなと思いましたね。

印象に残る個性的なキャラクター達

孤島に集まった登場人物達は個性があり、なかなか良い味を出していました。

なんといっても主人公である探偵の「池田戦」と助手役である「出雲崎ねね子」が強烈に個性あるキャラクターとなっており、読み進めるのが楽しかったです。

主人公はやたら行動力のある探偵ですし、ねね子は天才的なのに超絶コミュ症。凸凹に見えてお互い助け合うこのタッグを見れたのは良かったです。

他の登場人物も一癖も二癖もあり面白かったですね。

良質な音楽

個人制作・低コストゲームとは思えないくらい音楽が良かったです。特にOPの「Return to Shironagasu Island」は個人的に非常に気に入りました。このゲームの雰囲気に本当に良く合っていたと思います。

ゲーム内音楽も、緊迫したものから少し楽しげなものまで状況に応じたBGMが用意されていて満足できるものでした。

オリジナル・サウンドトラックも販売中で、ゲーム作者の鬼虫兵庫氏がYoutube上にオリジナル・サウンドトラックのPVを上げているので、興味のある方は是非聞いてみて下さい。

圧倒的コスパの良さ

このゲームを評するに当たって欠かせないのが圧倒的コストパフォーマンスの良さになります。

ボリュームはメインシナリオクリアまでで10時間もかからない程度ではありますが、スイッチ版(DL版)が750円、Steam版だと500円という格安価格。しかもSteam版のセールだと100円~250円ほどで買えるという驚異の割引率。

物語として面白く、推理モノとしてもよく出来ていてこの価格なので本当にコスパ優秀だと思います。

Steamセールで何買うか迷ったらとりあえずこれを買っておけば良いと勧められるソフトの1つですね。

シロナガス島への帰還の気になった点

一部イマイチなUI

非常に低価格で購入できて且つ面白い作品なのであまりケチをつけるのもあれなのですが、レビューなのできちんと記しておきます。本作では一部UI(ユーザーインターフェイス)周りがイマイチだと感じた部分がありました。

会話音声のリプレイが無い
1つ目が、バックログなどで会話音声を再度聞くことが出来ないという点です。元々はボイスが無くテキストのみの作品であったためか、バックログで音声を再生する機能が実装されていません。なので音声は一度聞いたらそれっきり。せっかくフルボイス化して良い演技もあるのに非常に勿体ないなと感じてしまいました。

イベントジャンプ機能も無いので、音声をもう一度聴きたい場合はロードしなおして聴きたい音声のある箇所まで進めるしかないと思います。

幸いセーブスロットは50個強用意されているため、気になったポイントでセーブを残すことができたのでその点は助かりました。

探索・推理パートのクリック関連
探索・推理パートでは画面内のオブジェクトなどをクリックして探索するのですが、オブジェクト判定範囲が狭かったり分かりづらい場所があったりと少しイマイチに感じました。私はSteamのマウス操作だったのでそれほどストレスでも無かったですが、スイッチのコントローラーだと操作感はどうなんだろうと気になってしまいました。

シロナガス島への帰還のその他要素

ホラー要素とグロ要素

この作品について書く上で説明しとかないといけないのが「ホラー要素」と「グロ要素」です。本作の公式説明ページなどには特にホラーを示唆する説明などは見当たりませんが、これら要素が含まれているので注意してください(ホラー好きな人なら全く問題ないです。この項は読み飛ばして下さい)。

私はホラーゲームは苦手でホラーがメインのゲームは絶対にやらない程度にはビビりですが、本作は数回ビックリさせられはしたものの本編クリアまでは問題なく辿り着けました。「そろそろ怖い場面が来るな」と分かりやすい箇所が多かったのも、なんとかなった理由の一つだと思います。

ただ、ホラー要素に加えてグロ要素もあり、直接的にグロい画像が出てくるわけではないですがテキスト描写として出現します。これが結構詳細に書かれている場面もあるので、全体の雰囲気とも相まって怖さが助長されていました。

あくまでミステリーの味付けとしてのホラーやグロであることが多かったため、「怖いグロいのは絶対NG」という人以外は案外なんとかなるかなという印象を受けました。が、人によっては厳しい場面があるかもしれません。

  • 暗闇等を利用して驚かされるのは無理
  • テキストベースであってもグロい(酷い)表現は嫌い

こういった方はプレイするのを見送ったほうが良いかもしれません。

そしてもう一つ注意点としては、ホラーが嫌い・苦手な人はメインストーリーをクリアしたら出現する「エクストラ」をプレイする際には注意しましょう。こちらは本編以上にホラー寄りな物語となっています。私は途中でプレイを止めてしまいました…。合わないかもと思ったら「エクストラ」は断念するのが良いかもしれません。

独特なキャラクターグラフィック

個人制作であり製作者の方が立ち絵まで描いているとのことで、キャラクターグラフィックはやや独特で好みが分かれる部分があると思います。

私はさほど気にはなりませんでしたし、特定キャラの立ち絵が良かったなと思っていたりしますが、昨今のゲームの美麗なグラフィックを見慣れている人は一度公式HPでも見て雰囲気を掴んでおくのも良いかもしれません。

まあ多少気になっててもプレイしていればすぐ慣れます。問題ないです。そんなことよりもシナリオの良さに惹き込まれます

レビュー・評価まとめと、個人的おすすめポイント

以上、シロナガス島への帰還の評価をまとめると、

  • ミステリー作品としてもシナリオゲームとしても面白い
  • 絶海の孤島を舞台とした終始不気味な雰囲気づくりが良い
  • 圧倒的コストパフォーマンスに優れている
  • ホラーが嫌いな人は注意

となります。

推理ADVとしても楽しいし、シナリオゲームとして見ても面白く、非常に満足度の高いゲームでした。

個人的なおすすめポイントは、推理ゲームとして簡単すぎず難しすぎないため推理する楽しみが味わえた点と、昔ながらのアドベンチャーゲームのようなシナリオを堪能できた点です。

これがワンコイン(500円)で遊べて本当に大丈夫?と言いたくなるくらいには楽しませていただきました。推理ADVやシナリオゲームが好きな人でホラー問題無いよという人には是非ともおすすめです。気になった方は遊んでみて下さい。

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