2023年2月にSteamで発売されたSpellForce Conquest of Eo(以下:SpellForce CoEo)の日本語化のやり方について書いた記事です。
公式日本語化されていないゲームなのですが、Unity製なのでXUnity Auto Translatorというツールを使うとゲーム中に自動で翻訳してくれるようになり非常に便利です。
SpellForce CoEoはターン制ストラテジーとRPGの融合作品として非常に面白く、1人でも多くの方に遊んで貰いたいと思っているのですが、公式が日本語化するような動きもないため本記事を書こうと思いました。
先駆者の方々が既に導入手順を書いてくださってますが、本記事では日本語化ツールなどにあまり馴染みの無い人でも導入できるように、ツールのインストール方法から日本語化設定まで丁寧に解説していますので、ぜひ活用してSpellForce CoEoを楽しんでください!
翻訳エンジンとしてはDeepLがおすすめです。
自動翻訳を行った実際のプレー画面
XUnity Auto Translatorを使用して自動翻訳化を行うと、どのように翻訳されていくのかを動画で撮っています。自動翻訳って実際どのような感じになるのかを知りたい方は見てみてください。
字が見にくい場合は、Twitterで全画面表示で見ると見やすくなると思います。
画面を切り替えて新たな英語の文が出てくると、すぐに自動で日本語に翻訳されていくのが分かります。ゲーム中で何も特別な操作をしなくても自動翻訳されるため、非常に便利で煩わしさがありません。
また、一度翻訳された文章はテキストとして保存されるため、同じ文章を再度表示した際には翻訳された文章が即表示されるようになっており、再度翻訳されるのを待つ必要がないのもこのツールの優れているポイントです。
XUnity Auto Translatorのインストール方法
SpellForce Conquest of EoにXunity Auto Translatorをインストールし、自動日本語化する方法を書いていきます。
Xunity Auto Translator自体は、一度インストールすれば全てのUnity製ゲームに適用されるわけではなく、基本的には各ゲーム毎に対応したversionのものをインストールしていくことが必要となる点にご注意ください。
大まかな手順としては、
- .Net FrameworkとVisual C++再頒布可能パッケージのインストール
- MelonLoaderのインストール
- Xunity.AutoTranslatorのインストール
- Xunity.AutoTranslatorの設定
となります。
.Net FrameworkとVisual C++ 再頒布可能パッケージのインストール
各ツール実行のために必要となる環境を整えます。まずは.Net Framework 4.8 Runtimeのインストール。
「.Net Framework 4.8 Runtime」
https://dotnet.microsoft.com/download/dotnet-framework/net48
上記リンクからマイクロソフトのページに飛ぶと、下図のような画面が表示されるので、赤枠で囲った「.NET Framework 4.8ランタイムのダウンロード」をクリックしてランタイムをダウンロードしてインストールする。
「Visual C++ 再頒布可能パッケージ」
(X64用、Windows11用) https://aka.ms/vs/17/release/vc_redist.x64.exe
(X86用) https://aka.ms/vs/17/release/vc_redist.x86.exe
次にVisual C++ 再頒布可能パッケージをインストールします。こちらはX64用、X86用とインストールファイルが分かれているので、自分のPCに合わせたファイルをダウンロードしてインストールしてください。Windows11を使っている人は(X64用、Windows11用)のファイルで大丈夫です。
Windows10を使用していて、自分のPCが64bitなのか32bitなのか確認する方法が分からない人は以下の方法で確認してください。
① 画面左下のスタートボタンをクリックし、「ドキュメント」をクリック
② エクスプローラー画面が出てくるので、PCにカーソルを合わせて右クリックし、「プロパティ」をクリック
③ 下図のような画面が出てくるので、赤枠で囲った「システムの種類」を見ると使用しているPC(CPU)が何ビットなのか分かる。
64ビットなら→X64用:https://aka.ms/vs/17/release/vc_redist.x64.exe
32ビットなら→x86用:https://aka.ms/vs/17/release/vc_redist.x86.exe
をダウンロードしてインストールする。
MelonLoaderのインストール
次にSpellForce CoEoでXunity Auto Translatorを動かすために必要となる「MelonLoader」というソフトをインストールします。
「MelonLoader」
https://github.com/LavaGang/MelonLoader.Installer/blob/master/README.md#automated-1
上記URLをクリックすると、下図のような画面が出てくるので赤枠で囲った部分にある「MelonLoader.Installer.exe」をクリックしてダウンロードする。
ダウンロードしたファイルを実行すると、このような画面が出てくるので、Unity Gameの横にある「SELECT」をクリック。
するとexeファイル選択画面が出てくるので、SpellForce CoEoのゲーム実行ファイル「SFCoE.exe」を選択して「開く」を押し、MelonLoaderの「INSTALL」ボタンをクリックしてインストールする。
SpellForce CoEoのインストール場所が分からない人は、SteamライブラリのSpellForce CoEoの画面で、歯車アイコンをクリック→「管理」→「ローカルファイルを閲覧」でインストールされているフォルダが表示されるので、この方法で確認しましょう。
XUnity.AutoTranslatorのインストール
次にXUnity Auto Translatorをインストールしていく。
「XUnity Auto Translator」
https://github.com/bbepis/XUnity.AutoTranslator/releases
上記URLをクリックすると色々なファイルのダウンロードリンクが表示される。その中で、
XUnity.AutoTranslator-MelonMod-5.2.0.zip
をクリックしてダウンロードする。似たような名前のファイルが多いので、Ctrl+Fを押してXUnity.AutoTranslator-MelonMod-5.2.0.zipでページ内検索をかけると分かりやすい。
また、同じページにある「TMP_Font_AssetBundles.zip」も使用するのでダウンロードしておく。
次に、ダウンロードしてきた「XUnity.AutoTranslator-MelonMod-5.2.0.zip」を解凍する。
解凍したフォルダの中には「Mods」と「UserLibs」フォルダが入っている。
この2つのフォルダを選択してコピーし、SpellForce CoEoのインストールフォルダに貼り付ける。インストールフォルダにModsフォルダとUserLibsフォルダが追加されていることを確認。
次に、先程ダウンロードした「TMP_Font_AssetBundles.zip」を解凍する。解凍すると、
- arialuni_sdf_u2019
- arialuni_sdf_u2018
という2つのファイルがあるので、「arialuni_sdf_u2019」をコピーして、SpellForce CoEoのインストールフォルダに貼り付ける。
これで必要なファイルが揃ったので、SpellForce CoEoのゲームを起動して、終了する(Exit Game)。
ゲーム終了後、インストールフォルダに「AutoTranslator」フォルダが作成されていれば、ひとまずはXUnity Auto Translatorのインストールは完了となる。次からは設定方法を書いていく。
XUnity.AutoTranslatorの設定
ここからはXUnity Auto Translatorで快適に自動翻訳できるように設定を行っていく。
ゲームのインストールフォルダの中の「AutoTranslator」フォルダを開くと、「Config.ini」ファイルがあるので、メモ帳などのテキストエディタで開く。
このファイルを編集することで各種設定を行えるようになっているので、必要な箇所を編集していく。Ctrl+Fで検索すると該当箇所が分かりやすい。
翻訳エンジンの選択
[Service]
Endpoint=
「Endpoint=」の部分で翻訳エンジンを指定している。ここを
[Service]
Endpoint=GoogleTranslateV2
に変更することでGoogleTranslate v2を翻訳エンジンとして利用することとなる。既にGoogleTranslateV2が入力されている場合はそのままで大丈夫。
翻訳言語の選択
[General]
Language=
FromLanguage=
の箇所を
[General]
Language=ja
FromLanguage=en
に変更。
「Language=」の部分で翻訳後の言語の指定、「FromLanguage=」の部分で翻訳前の言語を指定している。今回だと、翻訳後言語を日本語、翻訳前言語を英語と指定。
文字化け回避
OverrideFontTextMeshPro=
FallbackFontTextMeshPro=
の箇所を
OverrideFontTextMeshPro=arialuni_sdf_u2019
FallbackFontTextMeshPro=arialuni_sdf_u2019
に変更する。これは、ゲーム内で翻訳後に表示するフォントを指定している。英語のみのゲームだと日本語フォントが無く文字化けしたりする場合があるため、ダウンロードしてきたフォントを指定している。
一度に翻訳できる文字数を増やす
MaxCharactersPerTranslation=
の箇所を
MaxCharactersPerTranslation=2500
と変更する。MaxCharactersPerTranslation=200などと値が入っているかもしれないが、入っている値を2500に書き換えれば良い。
一度に翻訳する文字数制限を指定しており、会話文が長いようなゲームだと200文字などでは足りなくなるので最大翻訳文字数を増やしている。
Config.iniを上記全て変更したら、上書き保存して閉じよう。これで基本的なXUnity Auto Translatorの設定は終了である。
正常にインストールできているか確認する
あらためてSpellForce CoEoを起動してみよう。すると、
このような画面が出てくるが、少し時間が経つと、
勝手に翻訳されて日本語で表示される。Enterなどを押して次の画面に進むと、
メニュー画面になり、こちらもすぐに日本語に翻訳される。
これで自動翻訳が使えるようになっている事が確認できたので、あとは思う存分ゲームを楽しんでください!
XUnity Auto Translatorの便利なキーマッピング
よく使用するキーマッピング(ショートカットキー)を記載しておく。他詳細は、作者Githubページに載っているので参照して欲しい。
- Alt+T:翻訳後テキストと原文とを切り替える
あくまで機械翻訳であるため、たまに「これどういう意味だ?」という翻訳文も出現する。そんなときにAlt+Tで原文を表示すれば、原文を見て自分で理解できる。再度Alt+Tを押せば翻訳テキストに切り替わる。 - Alt+R:翻訳ファイルを再読み込み
このツールでは、翻訳語の文章をテキストファイルとして保存しており、そのファイルを自分で書き換えることで手動で翻訳文を修正することができる。
通常は、ゲーム起動時に翻訳ファイルが読み込まれるが、Alt+Rを押すことで翻訳ファイルを即時再読み込みしゲームを起動しながら修正点を反映させることができる。
特に、Alt+Tの原文と翻訳文との切り替えは非常に便利である。機械翻訳ゆえに分かりづらい部分を自分で確認して意味を理解できるようになるため、このツールの最大の利点の一つと言っても良い部分だと思っている。
翻訳エンジンとしてDeepLのフリーAPIを利用する
機械翻訳であるがゆえに、翻訳エンジンによって翻訳内容が大きく異なってきます。
XUnity Auto Translatorで利用できる現状で最も翻訳精度の良いエンジンはDeepL翻訳であると思います。しかしDeepLを翻訳エンジンとして利用するためにはひと手間必要となるため、ここではその方法を書いていきます。
DeepL APIは無料でも利用できますが登録が必要です。Gmailなどのメールアドレスと、クレジットカードが必須となります。無料枠で複数のアカウントを作成して、翻訳限界文字数に到達したら別アカウントを使うという行為を防止するための措置ですので、利用したい人はクレジットカードを用意してください。
DeepL APIへのアカウント登録
まずはDeepL APIのサイトからアカウント登録をします。
右上にある「無料で体験する」をクリックすると、無料版のDeepL API Freeプランと、有料のDeepL API Proプランが出てくるので、DeepL API Freeプランに登録するため「無料で登録する」を選びます。必ず「開発者向け(DeepL API)」タブであることを確認してください。
メールアドレスとパスワードを設定して「続行」。
あとは個人情報とクレジットカードの記入画面が出てくるので、必須事項は漏れ無く記入してください。クレジットカードを登録しますが、現時点では有料プランに手動で切り替えない限りは課金されることはありません。
最後に規約を確認・同意し、Freeプランであることを確認して登録ボタンを押すと、無事アカウントが作成されます。
DeepL APIのAPIキー発行とConfig.iniの設定
次にDeepL APIを利用するために必要となるAPIキーを発行していきます。まずはログインして、「認証キーを取得する アカウントを管理する」をクリック。
アカウントタブをクリックして下の方にスクロールしていくと、「DeepL APIで使用する認証キー」という欄が現れます。この認証キーをコピーします。(記載がありますが、決して他人に知られることのないようにご注意ください)
次にSpellForce CoEoのAutoTranslatorフォルダにあるConfig.iniを編集します。編集前にConfig.iniのバックアップを取っておくと楽です。
Config.iniをメモ帳などのテキストエディタで開きます。まず、
Endpoint=
の行を、
Endpoint=DeepLTranslateLegitimate
として、DeepL翻訳エンジンを指定。次に、
[DeepLLegitimate]
ExecutableLocation=
ApiKey=
Free=
の各行を
[DeepLLegitimate]
ExecutableLocation=
ApiKey=発行したAPIキーを入れる
Free=True
と書き換えます。「発行したAPIキーを入れる」の場所には先程コピーしたAPIキーをそのまま貼り付けましょう。以上でConfig.iniの変更は終わりなので、上書き保存して閉じます。
これでDeepL API無料版を翻訳エンジンとして使用するための準備は整いましたので、あとはゲーム内で翻訳されるかを確認してみてください。
もし新たな英語の文章が翻訳されなくなった場合は、
- APIキーが正しいかどうか
- Config.iniの書き換え内容が合っているかどうか
を確認してみてください。
DeepLの翻訳エンジンは優秀で、難しめの文章でもなんとなく意味が通る翻訳にしてくれることが多いので非常に重宝しています。
注意点としては、無料版だと月あたりの翻訳文字数50万字に制限されているため、長文の会話文が大量に出てくるゲームだとすぐに上限に達してしまうことです。
SpellForce CoEoは文字数がそこまで多いわけでは無いですが、それでも数時間のプレイで2~3万文字消費することもあります。DeepL APIで他のゲームの翻訳も行う場合は使用量に注意しましょう。
とはいっても50万字の制限に達したら自動的にプロ版に切り替えられて課金されるというようなことはなく、その月はもう使用できなくなるだけです。プロ版にする気が無いのであれば、ゲームを終了して他の翻訳エンジンに切り替えれば(Config.iniを書き換えれば)、また自動翻訳してくれるようになります。
便利だし月1000円くらいなら全然課金しても良いなと思っていたのですが、月1000円だと増える文字数が非常に少なくちょっと料金に見合わないなと思ってしまったので、私はまだフリー版のまま使っています。自身の利用形態に合わせて課金有無は決めてください。
まとめ
【SpellForce Conquest of Eo】に関して、XUnity.AutoTranslatorを用いた自動日本語化のやり方について書いてきました。
こういう作業に慣れていない人にとっては少し入り組んだ手順かもしれませんが、一度設定をしてしまえば快適に遊べますし、他の面白そうなUnity製ゲームが出た際にも日本語化を試せますのでこれを機に慣れていって頂ければと思います。
SpellForce CoEoのゲーム自体は非常に面白いものですので、日本語化で1人でも多くの人がこのゲームを楽しめるようになれば嬉しいです。
また、下記ページにて初心者用にSpellForce CoEoの基本操作やシステムをまとめています。この手のゲームに慣れている人にとっては当たり前の内容ですが、ターン制ストラテジーをあまり遊んだことの無い人には役立つかもしれません。困った時になどご参照ください。
↓Steam販売ページ
参考サイト:
https://gamersbox.net/other/4945/
https://steamcommunity.com/sharedfiles/filedetails/?id=2910430178
コメント
素晴らしい記事をありがとうございます!とても丁寧で助かりました。
ありがとうございます!参考になったなら幸いです。