2022年6月にFreedom Games(開発元はDancing Dragon Games)からSteamにて発売されたSRPGである「Symphony of War:The Nephilim Saga」のレビュー・評価を行っていきます!
オウガバトルと昔のファイアーエムブレム(FE)を掛け合わせたようなSRPGということで、日本語化されていないにも関わらず一部で話題になっている作品ですね。
記事執筆時点にて、
- メタスコア:81
- ユーザースコア:8.2
メタスコア80超えと高評価を得ています。
良かった点・気になった点 簡易まとめ
良かった点:
- 部隊編成とバトルが最高に楽しい
- 豊富なユニットクラス
- 綺麗なドット絵戦闘
- 高速化でサクサク進む戦闘
- 程よい難易度
- 2000円前後ながらクリアまで30時間程度遊べるコストパフォーマンスの良さ
気になった点:
- 部隊編成UIなどが若干使いづらい
- 会話のバックログが無いなどやや不親切
Symphony of Warのゲーム概要
Tahnraの世界は清算の時を迎えていた。長きに渡るヴェリディア帝国の帝位継承紛争によって、民衆は残酷な苦難にさらされることになった。新たな女帝フロリナの治世の下、過酷な環境に光が見えたかに思えたが、国賊と化した将軍が彼女を首都から拉致し反乱軍を結成して反旗を翻したのである。この戦いから世界の根幹を揺るがす事態へと繋がっていく。
Symphony of War Steam販売ページを一部要約
中世ファンタジーを舞台とした、2Dマップのターン制SRPGゲームです。
特徴として、
- 2Dマップのターン制SRPG
- 部隊ベースの軍を率いて攻略
- ストーリーが豊富でクリアまで30~40時間程度要し、リプレイ性も高い
- 50種類以上のユニットクラス(職業)が存在
- 奥深い戦術性
- 無限の可能性を秘めた部隊編成
をうたっています。
やってみた方は分かるのですが、昔のファイアーエムブレムの雰囲気がありながら部隊同士の戦いというオウガバトルの要素も備えており、ターン制SRPG好きには堪らない作品となっています。
現時点(2023/1/8)では日本語化されておらず英語でのプレイのみとなる点には注意してください。
将来的には日本語化する計画があり、現在進行中とのことです。
良かった点
部隊編成と戦闘が最高に楽しい
この作品の肝は、部隊編成にあると思っています。
部隊は最大9名まで編成できることに加え、豊富なクラスが存在するのでどんな特徴の部隊にするかを考えるだけでも非常に楽しくなってしまいます。
一例を上げると、
- ドラゴン部隊
- 騎兵部隊
- 砲撃部隊
- アサシン部隊
と特化した編成にすることもできますし、バラン重視の部隊を作ることも可能です。
また、部隊編成するにもユニット毎に編成キャパシティが決まっているため、制約の中で自分の望む部隊となるように編成を試行錯誤出来てとても良かったですね。
編成が決まれば部隊を引き連れて戦闘に向かいます。各ユニットが戦闘中に行うアクションはクラスによって決められているため戦闘自体は自動で進むのですが、ターン制SRPGなので
- 敵部隊にどの味方部隊を戦わせるか
- 敵の移動範囲を確認してどの程度部隊を進めるか
といった戦略を考慮しながら戦闘マップを攻略していくことになります。この辺りは普通のSRPGと同じですね。
意図を持って編成した部隊が上手く機能するととても嬉しいですし、逆に「あまり強くないな」と感じた場合は、より良い部隊を作るために改良を図っていきます。私はこの試行錯誤の繰り返しにのめり込んでいきました。
豊富なユニットクラス
人型の汎用ユニットクラス40クラス程度に加え、ドラゴン系クラス、固有ユニット専用クラスと多くのクラスが存在しています。
しかもそれぞれのクラスが個性を持っているため、最終的な上位クラスにおいて死にクラス(誰も使わないようなクラス)はそれほど無かったように思えます。
バランスが悪いゲームだと、どう考えても「最強のクラス」みたいなのが存在して、ほとんどのユニットがそのクラスになってしまい他の職業が全然活かされないみたいなことも起こるため、本作はバランス良く設計されているなと感じました(バージョンアップで改善されてきたようです)。
そうは言っても「このクラスいまいちかも」という事もあるにはあったのですが、
- 元のクラスに戻ることにペナルティが無い
- クラスチェンジの時に消費したアイテムも戻ってくる
ため、簡単に色々なクラスを試すことができて良いシステムだったなと思います。
ただ、人型汎用クラスの最上位クラスには中盤過ぎたあたりで辿りつきその上が無かったため、もう1段階上のクラスがあったら更に良かったかなとも思います。
綺麗なドット絵のバトル
ドット絵で表現される戦闘アニメーションは丁寧に仕上げており、過不足なく十分な出来だと思います。
戦闘が重いといったことも無く、戦闘画面とマップ画面の切り替わりも一瞬なのでストレスフリーな点もポイントが高いです。
高速化でサクサク進む戦闘
序中盤まではユニットの性能やバトルの詳細を確認して部隊編成を改善していくために、戦闘内容を見ていく必要がありますが、慣れてきたり編成が固まった部隊が増えてくると戦闘をじっくり見る必要もなくなり、戦闘を高速化したくなります。
本作では戦闘速度を3段階(Normal、Fast、Turbo)から選べるとともに、簡略化することも出来るためサクサク進めることが可能です。
私は戦闘中の行動結果も見たかったため戦闘速度Fastでプレイしましたが十分なほどの高速戦闘であり、敵味方部隊が多くなる終盤でもストレスを感じずプレイすることができました。
程よい難易度
難易度はCadet(簡単)、Captain(通常)、Warlord(難しい)の3種類用意されており私はCaptainでプレイしたのですが、たまにやられることもありつつ楽しむことができてバランスの良い難易度だったと思います。
仕掛けのある初見マップをクリアしていくのが楽しかったので、「攻略サイトの各マップ詳細解説」は初見では見ない方が楽しめるかもしれません。
プレイや編成のコツを掴むとやられることも無くなってくるので、慣れている人にはWarlordが歯応えのある難易度になると思います。
また、オプションとして汎用ユニットが死んだ状態でマップをクリアすると永続死する「Permadeath(パーマデス)」モードも用意されてます。
自分は囮部隊を用意したりしたためパーマデスだとなかなか厳しいかなと思ったのですが、より難しいプレイを求める人は是非挑戦してみてください。
コストパフォーマンスの良さ
セールでは少し値が下がりますが執筆時点で2300円。この価格で1週30時間程度は楽しめることを考えると非常にコストパフォーマンスが良いと思います。
ターン制SRPGとしての出来が非常に良いため、苦痛の30時間ではなく「ああもうすぐ終わってしまいそう、もう少しプレイしたかった」という気持ちで最後まで楽しめました。
気になった点
部隊編成UIなどが少し使いづらい
ちょくちょく気になったのがUIの貧弱さです。
特に部隊編成画面が気になったのですが、ユニットのステータス確認やクラスチェンジなどの操作がひと手間かかる仕様となっていたり、部隊にユニットを編成する際に入れ替えがなかったり、ユニット同士の能力比較が一画面で出来なかったりと、それらは残念なポイントでした。
部隊編成が楽しいゲームであるため、その部分でのユーザビリティは上げてほしかったなというのが感想です。
また、クラスの特徴がユニット固有のTrait(特性)として明記されているものと、Tutorialを見ないと分からないものとが混在しており、これも不便だと感じた部分でした。version upで改善されると嬉しいな。
会話のバックログが無いなど不親切
会話があるゲームでは今やお馴染みとなっている会話のバックログですが、本作にはありません。
英語であることも相まって「どういう表現していたかな?」と思って少し前の会話を見たくなる場面があったのですがログがないため確認できず、あれば良いのになあと思ってしまいました。
また、インターミッションで他勢力の動向の説明が挟まる時があるのですが、その場面で人名等が分かりづらくもう少し親切に説明書きしてくれれば分かりやすいのにという場面がありました。
まあこれは英語ネイティブではないが故の感想なのかもしれません。
あとは、Tutorialを始めとした能力や習得技術の説明時の表記が一貫していない部分が見受けられて、少し混乱するのもありました。これもネイティブだと全く問題ないのかどうか、私には分からないですが。
その他の要素
使いようによってはヌルゲーと化す特殊能力
中盤以降、特殊能力が使用できるようになるのですが、それを多用し過ぎると一気にヌルゲーとなってしまいます(特に難易度Captainでは)。
特に「味方ターンと次の敵ターンの間部隊のダメージ半減+その部隊を敵が優先してターゲットにしてくる」という特殊能力があり、これは使いようによっては敵を一網打尽にすることができてしまい、あまりにも強すぎるため私は使用を封印しました。
ただ、高難易度+パーマデスモードだと使っていかないと厳しいのかもしれませんし、また初心者救済用の能力でもあると思うので一長一短だと感じています。
初見ではあまり使いすぎないくらいが丁度よい難易度を味わえるのかなと思います。
王道のストーリー
ストーリーに関しては、善と悪の戦いという王道のストーリーだったと思います。中盤の展開は個人的には好みでした。
ネイティブではないため英語の表現で引っかかる言い回しがあったりしましたが、PCOTなどの翻訳ツールを使えばストーリー全体は理解することができると思います。
Symphony of Warに限らず英語のゲームをやる上でPCOTは非常に便利な無料ツールなので、まだ使ったことがない人はこれを機に導入してみるといいと思います。
やり込み要素の薄さ
本作は育成要素というよりも部隊編成に重きを置いている作品と感じました。そのため育成部分は終盤に近づくにつれ薄くなり、やり込める部分が少なくなってしまいました。
周回要素としてもストーリーが変わるわけではないため、高難易度を楽しみたい人がもう1週するという感じになっていると思います。
そもそもが低価格の作品ですし1週目が非常に面白いので問題ないのですが、是非続編ではやりこみ要素も盛り込んでもらえるととても嬉しいです。
レビュー・評価の総評
私の評価をまとめると、
- クラスが豊富で部隊編成が非常に楽しく時間を忘れてのめり込んだ
- 総じてターン制SRPGとしての出来が良くコストパフォーマンスが高い
- やりこみ要素はそれほどでも無い。高難易度挑戦はある
- UIや英語表現が気になるがゲーム全体の面白さを損なうほどではない
となります。
正直2022年発売で自分がプレイしたゲームの中ではわりとトップクラスだと思っています。発売からだいぶ経ってからTwitterでこのゲームの存在を知ったのですが、巡り会えたことに感謝しています。
英語のみでのプレイとはなりますが、ターン制SRPGが好きで部隊同士の戦いが好きな人には刺さると思いますので是非プレイしてみて下さい。
Steamセールの他にも、Fanaticalでもセールしていたりするので確認してみてください。
あとSymphony of Warの日本語解説記事なども書いているので参考にして下さい!
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